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第68回 質問を遮らない
執筆年  2002年   

画・ざむ姫

人の話を聞くと言うのは大変難しいものです。

今回のテーマは質問の受け方です。
みなさん質問をする時は、質問の仕方に注意をしていると思いますが、質問を受ける立場の時には、案外気が回っていないのではないかと思います。

確かに、人から質問される時と言うのは、ついつい次になんと答えようかと考えてしまいがちです。また、その失敗はしなくても、質問の内容を把握するのに精一杯で”自分が相手の質問をどう聞いているのか”についてまで神経を回すのは大変です。

しかし質問を受ける態度はとても重要だと思います。
質問の受け方は信頼される為のキーの一つだと思います。
中でも人の質問を途中で遮らないというのは重要です。
なぜ人が質問をするのかと言うと、不明な点があって、それを確かめたいからですが、不明な点があると言うのはその人にとっては不安があるということです。
内容に答えることも重要ですが、不安な気持ちを解消してあげるのも人間関係を考えた場合にはとても重要です。
不安な気持ちを解消してあげるには、質問の内容を理解することに集中して、うなずきながら最後まで聞いてあげることです。相手にとっては質問をすること自体がストレス解消になっているのです。

生活していると、相手の質問が最後まで聞かなくても分かることはたくさんあります。とくに仕事の場面では部下やお客さんから受ける質問の種類はそう多くないはずです。分かりきった同じような質問を受けた時にはついつい途中で遮って答えを言ってしまいたくなります。
しかし、途中で遮らすに相づちを打ちながらうなずいて、最後まで質問を聞いてみてください。必ず相手は自分の疑問を最後まで聞いてくれたあなたに対して好い印象を持つはずですよ。


次は、答えるまでの間の取り方の話です。
これによって、信頼される受け答えができるようになります。

僕は相手の質問の種類によって答えるまでの間を変えています。
相手の浅い疑問にはすぐに答えてあげるのが良いと思います。
逆に疑問や不安が深い時には、すぐに答えたくなるのを我慢してじっくりと考えてから答えるようにしています。

浅い疑問の場合と言うのは、特に感情が裏にない場合です。
例えばタクシーで行き先を聞かれた時です。相手は行き先以外の質問の答えは期待していません。もったいぶらずにすぐに答えるのが普通ですね。

逆の疑問や不安が深い時と言うのは、質問の内容が相手にとって重要な場合です。特に相手がこちらに対して不安や誤解、不信感のようなものを持っているケースです。
このような時には人はすぐに答えたくなるのが普通でしょう。なぜなら、目の前の相手から責められています。出来るだけ早く逃れたいと言う気持ちが働き、「それはこういうわけなんだ」とすぐに答えてしまいます。
そうするとどうなるか。

部下 「私が提案した案がなんで採用されなかったんですか?」
上司 「ただ会社の方針に合わなかっただけだよ。私はいい案だったと思うよ」

部下は即答されても納得はしていません。
きっと曇った表情で「ふーん・・・」とでも言いながら渋々席に戻るでしょう。
つまり、答えをもらっても不満な感情はすぐに解消できていないのです。

相手は、理由が聞きたいという気持ちもありますが、不満を持っていて、それをぶちまけているのが実際です。このような深い疑問の時には、すぐに答えずに、一緒に相手の感情を共有してあげることが大切です。

部下 「私が提案した案がなんで採用されなかったんですか?」
上司 「・・・そうだね。良く出来た案だったのだから、採用されなかった理由を聞きたいのは当然だね。そうだね・・。ただ会社の方針に合わなかっただけだよ。私もいい案だったと思うよ」

こうやって相手の「採用されなかった不満」の感情をいっしょに感じてあげることで、相手はあなたの言うことを聞く体勢になるのです。

こんなちょっとしたことをするかどうかで、仕事上の人間関係が決まってきます。普段から信頼される人間を目指しましょう。

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