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第65回 組織のやる気!二つの目標
執筆年
2001年
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将来人材で苦しむことになる皆さんこんにちは。 今回は組織の運営方法についての話です。 営業の仕事をして一番苦しんだのが部下のやる気をどう上げるかというこでした。実際僕はストレスで死にそうになりましたね。 将来組織を作ったら多くの人もきっとこの点に悩まされるでしょう。 特に、営業によって売上を上げている会社では、社員がやる気を無くすと驚くほど売上が減ってしまうものです。実際半分くらいには落ちます。 逆にやる気が高まると普段の倍以上の数字が上がります。 人間の力とは恐ろしい限りです。 いわゆる上司になれば誰でも持つ悩みでしょう。 そして多くの会社がずっと制御できずに悩み続けている問題です。 人の上に立った時、人の心を惹きつけ、やる気を出させる方法については学校では絶対に教えてくれません。 ということで、今回から数回に分けて、僕が実際にやってきて上手く行った”部下にやる気を出させる方法”を書いてみましょう。 組織にやる気を出させるにはどうしたらよいでしょう? いくつかポイントがありますが、今日は「目標」に絞って考えましょう。 組織は組織の目標でやる気を出します。 個人の目標では頑張れる人と、そうでない弱い人がいます。 しかし、組織の目標はみんなのモティベーションになるのです。 強い人も弱い人も組織の目標に対してはやる気になるものです。 例えば野球のチームを考えてみましょう。 ホームランバッターや首位強打者や盗塁王は自分のために頑張れる強い人たちです。しかし試合後のコメントを思い出してみてください。目標についての質問に「チームの優勝です」と答えることが多いですね。自分の為だけではなくて、同時に彼らはチーム為にも頑張れるのです。 一方、ホームランバッターなどになれないような弱い選手はどうでしょう?彼らのような弱い人もチームの優勝の為には頑張りたいと言うものです。 個人の目標に向かって努力できる人は、意外と少ないものです。今コラムを読んでいる皆さんはきっと自分のために頑張れる強い人達でしょう。 だからこそ気をつけて下さい!あなたのような強い人は自分でやる気を引き出せます。しかし強くて優秀な人材ばかりを集めることは不可能です。ですから弱い人をやる気にさせて活躍させてあげられるかで、あなたの報酬が変わるのです。 強い人も弱い人も両方をやる気にさせるのは組織の目標です。 目標の立て方は簡単です。 短期では「簡単には達成できないけど、でもちょっと頑張れば達成できるような目標」を据えましょう。 長期では「一見すると不可能なんじゃないかというような目標」を据えましょう。 組織目標を達成できない経験をする皆さんこんにちは。 前回は組織の目標を立てる話をしました。 今回は、目標を達成する為の方法についてです。 組織の目標に関して僕は何度も挫折感を味わいました。 教わった通りに今までよりもちょっと高い組織目標を立てても、どうやっても達成出来ないのです。ガックリ来ます。組織を引っ張る人間にとってこれほど屈辱的なことはありません。 明らかに、目標に対する自覚が無いのです。部下にいくら目標を達成する大切さを説明しても意欲は見られませんでした。 彼らは達成できないと、達成できなくて当たり前だというもっともらしい理由を並べやがります。部下の不甲斐なさが目に付きまくって、こいつら全員首にしたい思いに駆られます。「お前の考え方はここが悪い」と一人ずつ呼んで厳しく徹底的に教育もしました。 ところが、こうしているとやがて陰でこそこそ会社や僕に対する悪口を言い始めます。僕には直接言わずに飲み会などで言うのです。 こんなのが続くと本当にストレスで死んじゃいますよ。 いやーもう書いてて笑っちゃいますね。当然です。 これを真似しちゃダメですよ。 僕がやっていたのは「けなすマネージメント」です。 「だからダメなんだ」 「それがいけないんだ」 「どういうつもりだ」 「なんで~したんだ、しないんだ」 けなすマネージメントは強い人間にだけ有効です。 普通の人に厳しく問い詰めたり、ダメな点を指摘すると自信がなくなり潰れてしまいます。基本は信賞必罰ですが、罰とはいっても精神的に責めてはいけないのです。 経営者が「やれ」と言ってしまうと強制になります。今まで以上の目標を達成するなんてことはまるで素人にエベレストに登れというくらい無理なことになります。 僕は人を「ほめる」のは滅多にしませんでしたし、とても苦手でした。 褒めなかったのは出来て当たり前と思っていたからです。 また、責めることは一種の癖でした。 お前はダメダメと江戸時代の拷問のように責めていましたね。 今から思えば自分で部下のやる気を潰していたに他ならないのですが、当時はそれしか方法を知らなかったんです。許してください水戸黄門様。 まず組織改革の前に、僕のコミュニケーションを改革するが必要がありました。それはもう大変な道のりでしたよ。 本当によーく覚えておいてください。 褒めない組織は伸びません! けなしまくりだった僕も、さすがに落ち込み続ける売上と、部下からの冷たい反応に危機感を感じ、褒める決意をしました。 まずは僕自身が人を褒める練習から始めました。 ところが上手く褒められないのです。褒め慣れていないので、褒めるとまるで嫌みのようになってしまいます。当時付き合っていた彼女は練習台で褒められて、何度も気分を悪くしたみたいですよ。 それと極端に人を褒める為の語彙が少ないことに気が付きました。 そこで「褒めるノート」を作ってみました。褒め言葉を聞いたり、思いついたらこのノートに書き込んでいくのです。内面的な、特に考え方に関して褒めてあげると相手は喜びます。 褒めるようになってからどんな変化が起きたか。 まるで魔法が掛かったように、みんな生き生きとして、活気が出てきました。 まず、部下が僕を褒めてくれるようになりました。褒めると褒め返してくれるのです。そうすると、お互いにとてもいい気分で仕事が出来ます。誰でも自分を褒めてくれた人に対して好感を持ちます。同じように、僕に対して好感を持ってくれたようです。 しかし、難しかったのは、陰で僕の悪口を言っている部下も褒めると言うことでした。これはゲームだと思って褒めました。すると不思議なことに、よいところを褒めると自分が相手を好きになるんです。相手も自分を好きになってくれますが、褒めた自分も好きになります。結局僕は相手の悪いところばかりを見ていたんですね。 褒めることは、心の栄養です。 人は褒められると自信がつきます。 大げさに言えば、生きている価値を感じます。 自分の存在に意味があると感じます。 そして目標に向かって頑張ろうという意欲が湧いてきます。 つまり、褒められる事がやる気に結びついていくのです。 なんと言っても褒めるマネージメントの良いところは、お金が掛からないと言うことです。コスト掛からずにこれほど素晴らしい効果をもたらす方法は他にありません。 そして、組織の目標達成にもう一つ大切なことがあります。 それは右腕となるリーダーを作ると言うことです。 トップの人間(特に経営者)が「やれ」と言うのは強制でしかありません。目標は強制しても決して達成できません。 しかし、リーダーが「やろう」と言った時、それはリーダーシップになるのです。 組織は下からしか火が付かないものです。 経営者と従業員には、お互いが想像する以上に意識に差があります。会社の損失がそのまま自分の損失になる経営者と、給料をもらっている人間では、会社の経営に関する意識が違いすぎるのです。 特に、従業員が経営者を理解することは絶対にありません。 トップの人間は従業員から「自分達とは違う特別な人」と見られています。そんな「特別な人」の号令は、強制力はあっても、やる気まで生み出すのは難しいのです。 今までよりも高い目標を掲げた時、ほとんどの従業員は「無理なんじゃないか」と思うものです。彼らは新しいことに対して否定的です。今までやったことが無いものは、やり遂げる自信がありません。(だから従業員なのです)そんな時に、他の従業員と同じ立場の人間で、一人率先して目標に対して「達成しようという姿勢」を見せる従業員が必要になるのです。 この従業員がリーダーです。 リーダーが目標を本気で達成しようとする姿勢を見せると、他の従業員もそれに倣い、だんだんとやる気に火が付いてきます。 これにはまず、リーダーが目標に対してやる気になっていなければ始まりません。ですから、目標達成に関するトップの仕事は、リーダーに目標を達成する決意をさせることです。逆に言うと、リーダーはトップが動かしやすい人材でないといけません。 トップとリーダーは常に組織のビジョンを共有し、深い人間関係が不可欠で、共に組織のために頑張ろうという意識を持つ必要があります。 実は、リーダーを見つけ、育てることは大変に難しいことです。 正直に言うと僕も得意だとは胸を張って言えません。以下に書くことは僕が過去にこの人は組織のモティベートが上手な人だと思った人たちから教えていただいたことの受け売りです。僕も実際にこの方法を取り入れてから、完璧ではありませんでしたが、飛躍的に良い結果になった経験をしましたのでどうぞ参考にして下さい。 目標を達成する為に、組織に下から火をつけるリーダーはどんな人物がよいのでしょうか。 一言で言えば、組織目標の達成に向かって絶対に諦めない人です。 そして、あなたと目標を共有できる人です。 先日長年セールス組織を持っている方とお会いしたのですが、結局、リーダーとなる人物を100%見抜くことは出来ないという点で意見が合いました。 力がありそうな人でもやらせるとダメな場合は良くあります。逆に、弱そうでも内に強い信念を持っていたりすることもあります。 見た目で判断出来ないのです。実際やらせてみないと分からない。 ただし、少なくとも同じ目標を共有できるかと言うことは判断できます。 能力のある人は我が強く、自分の考え以外を受け入れない場合があります。いくら能力があっても、組織のトップと目標を共有できないならばリーダーには向いていません。そういう人をリーダーにしてしまうと痛い目に会います。人間として気が合うかということも重要です。 優秀な人をリーダーにすると言う考えは間違えです。 以前にコンサルタントをしていたときによくこんなことがありました。売上の上がっていない会社では決まって社員のモチベーションが低くなっています。そこで僕が「火付け役になるような人は居ないのですか」と聞くと、経営者は決まって「うちには優秀な奴が居ないんだ」と答えます。 優秀な人をリーダーにすると言う考えでは、いつまで待っても組織に火をつけるようなリーダーは現れません。また、優秀な人間が火付け役になるとも限りません。 では、どうやってリーダーを育てていくのか。 リーダーが見つからずに悩んでいた時に教えてもらったこと。それは「まず「こいつを育てよう」と決断する事から始める」ということです。これは僕にとって革命的でした。良い人材を待つのではなく、目標を共有できる人材を一人決めて、「こいつを育てよう」と決断するのです。 能力が無くても構いません。むしろ周囲に「あいつがあれだけ結果を出せるなら、俺も」と思わせることが出来れば最高です。 次に「お前はリーダーだ」と言い続けます。 コミュニケーションの時間が必要です。徹底的に時間を取って愛情を注いであげます。そして組織のミッションや目標を共有します。 僕が一人の部下にお前はリーダーだと言い続けたところ、次第に彼は自分をリーダーとして自覚し、リーダーとして振舞い始めるのには驚きました。 もう一つ大切なのは、その人物がリーダーになると言うことを最後まで信じる、ということです。途中で多少くじけてもすぐにダメだと判断しないで下さい。人が成長するには時間が必要です。 常に褒めることは言うまでも無く基本ですが、「お前には本当に期待しているよ」と常に期待を掛けていることを伝え続けるということも重要です。 人は期待される通りの行動を取ろうとするものです。 以上のように、従業員でありながら、他の従業員をリードするような人間を作り、組織に下から火をつけるようにすると驚くような活気のある組織になりますよ。 ■2005年からのツッコミ■
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