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第104回 カニ戦争
執筆年
2003年
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半年前にさくら事務所の長嶋さんにお世話していただいて購入した札幌の投資物件を視察してきました。 アパートは8世帯なんですが去年新築で買って以来、お陰さまでずっと満室です。 管理もすべて委託していますから、僕は毎月通帳を眺めているだけ。遠く離れた北海道という土地で、勝手に毎月収益をもたらし続けているのです。雪に囲まれたアパートを前にしてここにみんな住んでいるのだな、毎月家賃を払ってくれているのだなと思うと不思議な感覚でした。 翌日は朝、札幌中央市場に行きました。お目当ては海鮮どんぶり。 市場にはいくつかのおみやげを売る店が通りにずらっと並んでいます。 お土産の主役はカニです。 通りを歩くと 「味見していって」 「カニ探してるの」 なんて次々と声を掛けられます。 正直うざいです。 しかし、声を掛けられていくうちに、実家にカニでも送ってあげるかという気持ちになり、お店を探すことにしました。 最初の店では若いお姉さんが 「うちは卸だから一番安いよ。この一帯の店にはうちが卸してるんだ。だから安いよ」 と言われました。確かに値段は安そうです。 「絶対に安いから、最後にうちに来て」 と付け加えました。 二番目の店ではおじさんが どういうカニが一番おいしいかの見分け方を教えてくれました。 毛ガニは600g以下で黒ずんだ、甲羅の硬いやつがカニミソが詰まっていておいしいんだそうです。 「せっかく大切な人に送るカニなんだから買い方に気をつけて。 選んだカニが送られる保障は無いから、必ず分かるように印をつけてもらってください」 と言われました。 なるほど。確かに生きているカニは送れません。 「このカニで」と指定して、茹でてから送ってもらいます。 茹でるその場にはいないわけですから、本当に選んだカニかは分かりません。 三番目の店では、声を掛けられたときさすがにカニの説明を聞くのが面倒になり、 「海鮮どんぶりを食べに来たんだけど」と言いました。 するとその若い店員は次々にあの店はダメ、 あの店はボッタクられるなどと言いました。 最後に「カニ、おみやげに買って行きなよ」と言われました。 さて、僕はどの店で買ったでしょう? そう。二番目の店です。 僕にとって、そのおじさんが一番親身に感じたのです。 おじさんはカニを買う失敗しない方法、損をしない方法を情報として提供してくれました。 このおじさんに任せれば、安心できると思いました。 カニは素人にとっては見分けがつきません。 競合が立ち並んでいる場合、どの店もが「うちが一番の店、一番安い店、いいカニ」と宣伝するのですから、買う側としては疑心暗鬼になります。 こういうときはお客さんの味方になって、売込みをせずに 「うちで買わなくてもいいけど、失敗しない買い方はこうだよ」 と教えてあげるのがよいのです。 思わず信頼しちゃいますね。 カニを買いたいというニーズはあるのですから、あとは人間関係が強いところで買ってしまいます。 それに対して、一番目の店は価格で勝負していました。 中身が見えない商品の場合、価格で勝負しても「安かろう、悪かろう」になってしまうのではと不安になります。 三番目の店は業種は違うけれど他店の批判をしていました。こんな店は信頼できません。 こういったノウハウは、対面で物を売るときも使えますが、HPでも使えます。 イクラやウニがたっぷりのった海鮮どんぶりを食べて、大満足して札幌を後にしたのでした。
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