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第105回 買った後の状態をイメージさせる
執筆年  2003年   

画・ざむ姫

今日はマーケティングの話しをしましょう。

先日、引越ししてソファー、テーブル、棚などのインテリアを大量に買いました。
カタログを大量に揃えて、部屋に合うかどうかを検討します。
妻がもらってきたフランフランという店のカタログを見ていました。
折りたたみの小さなカタログに、ソファーやらテーブルが小さく単体で並んでいます。
まるで小物の置物のように見えます。
とてもセンスのよいかわいいカタログでした。
これがよさそうだという棚があったので自由が丘まで見に行きました。

まるでショールームのような(笑)おしゃれな雰囲気です。
さっそく気に入った棚を探しました。
しかし、実物を見てガッカリしました。今ひとつごてごてしていて、魅力に欠けていたのです。
ついでに店内を回っている中で、目に付いた一角がありました。
その空間は落ち着いたシンプルモダンな部屋をイメージしていました。
その中で、つや消しのクロームのフレームに濃い茶色の棚板の飾り棚が目に止まりました。
小物が飾られていて思わず「こんなのが部屋にあったら素敵だな」と感じました。
その棚を自分のリビングに置いたときの場面がありありとイメージできました。
値段も手ごろだったので購入しました。
すっかり満足でした。

家に帰ってから、もう一度カタログを見てみましたが、
買った棚はシンプルすぎて寂しい印象です。全然魅力的ではありません。
僕は、店で見た印象とカタログのギャップに驚きました。


人間心理が分かると、効果的なマーケティングができるようになります。マーケティングという仕事は、一言で言うと「お客さんをいかに増やすか」です。
そのために、ポジショニングやらブランディングとかそういった”プロの技”があるわけです。
僕はマーケティングが本職のくせにプロの技にはイマイチ詳しくありません、でも内容を聞くと「ああ、それのことね」ともうすでに知っているか、やっていることばかりです。
プロの技は、すべては「人間の買う時の心理」を応用したものです。
根本の心理を具体的に使った事例なんです。
だから、この人間心理を分かってしまえば、あとは実践で応用していくだけ。
人間心理を理解するのは難しい理論の解説を読むよりもずっと楽です。
ところがこの「買う時の心理」について分かりやすく書かれた本というのがなかなかないんです。
とりあえず僕が今まで読んだ中ではありませんでした。
どれもとても学術的、難解的表現なんですね。

契約先の会社なのでマーケティングの話しをすると
「どこでそれを学んだのですか?」
と聞かれます。僕は
「野生の勘です」
といつも答えています。

僕は特別に学んできたわけではありません。
教えてもらったのではなく、気づいてきたのです。
研究モデルは自分です。
自分が思わず物を欲しくなるときや、つい買ってしまうとき、自分の心の動きを考えてみるのです。
「なぜ、これを欲しくなったのだろう」
「どうしてこれを買ってしまったんだろう」
「買いたいのに悩んでいるのはなぜだろう」
「店員に言って欲しい言葉は何だろう」

こういったことを常日頃から考えていると、「買う時の心理」が分かります。

インテリアの話しに戻りましょう。
買った後の状態をイメージできると買いたくなるのです。
棚の単体ではあまり魅力的に見えなくても、それがソファーや小物、照明などと上手にディスプレイされると、お客さんは買って自分のリビングに置いた状態をイメージできます。
そのイメージが魅力的だと、素敵!という感情に支配されて、買ってしまうのです。

商品を見せるときは、買った状態をイメージさせて、感情を揺さぶることが大切です。

サービスでも同じです。
サービスの説明ではなく、サービスを受けたときの状態をイメージさせるのです。
これをHPで行えば、訪れて買う人の確率がグッとUPしますよ。



■2011年からのツッコミ■
買った状態をイメージさせる、これは本当に大切ですね。
さらに、もっと上手くいかせたい場合はお客さんがその商品(サービス)を買って
喜びで笑顔になっているところをイメージするといいでしょう。
そうすると、自分も嬉しくなってもっと商品やサービスを素敵なものにしようと思うようになります。
そうやって、生まれた商品やサービスには愛が注がれます。
お客さんは、あなたの愛も受け取ることになるでしょう~


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