ホームへ戻る 犬飼ターボの秘密ハピサク日記オススメ本

第157回 遅刻の帝王
執筆年  2006年   

画・ざむ姫
「ライフワークを探す」という言葉を最初に聞いたとき、
僕は「ん?何だそれ?」とちょっと違和感を感じました。
「やりたいことがわからない」とか「ライフワークが見つからない」という状態になったことがありません。
やりたいことはいつもどんどん出てきます。
どれをやっていいのか迷ってしまうことはよくありますが。
自分のライフワークは一体なんだろう?なんて考えてこともありませんでした。

ここ一年ほど、その違いを考えていました。
まず、自分の過去のことを考えてみました。

思い返すと、僕はいつもやりたいことを夢中になってやってきました。
24歳 お金持ちになるぞ!と起業
26歳 成功者は多くの人を成功者にした人だと、他人の成功に貢献するようになったとき
27歳 人間心理を研究してインターネットのマーケティングを仕事にしていたとき
28歳 起業家を育てようと、プロジェクトを立ち上げたとき
30歳 そのプロジェクトが失敗して、他のプロジェクトを立ち上げたとき
現在 そして、八ヶ岳に引っ越して、ハピサクを伝えるための成功小説を書き、セミナーを開催している今
思い返すと、いつもその瞬間にやりたいことを思う存分やってきました。
「次はどうしようか」と数ヶ月間は立ち止まることはありましたが、今までのところやりたいことは自然と見つかっています。
たぶん、これからもどんどん面白そうなことが見つかればやっていくでしょう。

社会に出る前はというと、やっぱり僕はかなり自由な子供・青年でした。
中学生のときは「いい生徒」でしたが、高校のときに先のことを考えたときに、受験していい大学に入って、それがそのままいい会社につながるという人生が見えてしまいました。
受験がすべて・・・
そう思ったら、なんだかすべてが馬鹿らしくなりました。
僕はその日から受験のことだけを優先することにしました。
朝、ホームルームやら出席の点呼のために8時半までに席に着いていなければならないのですが、授業が始まるのは9時からです。
「じゃあ、9時に行けばいいや」
と思ってほぼ毎日遅刻するようになりました。
「遅刻の帝王」と呼ばれていました。(笑)

そのうち、大学の受験に関係ない授業自体が無意味に思えて、役立たない授業には出ずに家で勉強するようになりました。
国語の先生には「あなた、このままだと出席日数が足りないから卒業できないよ」と特別テストを受けました。

全校で防災訓練か何かのために体育館に集合しなければならないときには、部室に逃げ込んで勉強していました。
そうしたら見回りの体育の先生に見つかって、
「お前見たいな奴は迷惑だ。学校を辞めろ。大学検定を受りゃあいいんだ」
と言われました。もっともだと思いましたが、さすがになんだか怖くてできませんでしたけど。(笑)
こんな感じで、非常にやりたい放題で困った生徒だったと思います。
確かに傲慢だったし、いろんな人たちに迷惑もかけましたが、「人の言うことではなく、自分の気持に従う」ということをしてきました。

一方、自分が何をしたいのか分からないという人を観察して見ると、たいてい「いいひと」のようです。
社会的にちゃんとした仕事についていて、毎朝遅刻しないで会社に行って、きちんと与えられた仕事をこなしている立派な人たちです。
そんな模範的な大人は先生に反抗したこともなく、授業が面倒くさいからと休んじゃったこともないみたいです。
親の言うことをよく聞く「いい子」が「いい生徒」になって、「いい大人」になります。
他の人の期待を聞いてそれに従っていると褒められて評価されます。
そのときは気分がいいでしょうが、しかしその代償として自分の心の声が聞こえなくなってしまいます。
「社会に求められる姿」がインプットされて無意識のうちに演じています。
そうした「社会に求められる姿」を演じているうちに、どうやら本当に自分がしたいことが分からなくなっているようです。

僕は両親に、大人になってどんな仕事をしたらいいかということについて、
「好きなことを何でもしていいよ。あなたの人生だから」と言われて育ちました。
「その代わり責任は自分で取りなさい」とも。
だから、自分の人生だからと思って好きなことをしてきました。
そうやって育ててくれた親に心から感謝しています。
(さすがに学校に毎日遅刻していくようになった時には心配していましたが)

「いいひと」になっている人は、もしかしたら、「いい子でいなさい」とか「これはしてはだめ」という命令に従ってきたのかもしれません。
厳しい両親から「大人になったらこんな仕事をしなさい」とか、「大人はこういうものだ」というふうに教えられてきたのかもしれません。
そういえば、僕も「犬飼さんには将来は政治家になってほしい」とか「うちの社員になってほしい」などと「あなたにはこうなってほしい」「こういうことをしてほしい」と期待をかけられたことはあります。
それはそれで嬉しいことです。
でも、自分のしたいことでなかったら素直に断ります。

ライフワークは面白いことをたどっているその瞬間のことだと思います。
僕にとって成功小説とセミナーは、今までで一番面白いことです。
苦労して探し出したことではなく、ただ面白いことをたどって行った先で見つけた今一番面白いこと。
僕の最終ゴールだとは思いません。

ゴールを探すのをやめて、面白いことをしてみましょう。
立派な大人だったらしないことかもしれません。
子供の頃に禁止していたことがあれば、それをやって見ましょう。
カブトムシを捕りに行くこととか、友達に面白いあだ名をつけることとか、変な声を出すこととか・・・・・とっても小さなことかもしれません。
それをしていくうちに、だんだんと自分の声を聞くのが上手になっていきます。
最初からいきなり離婚したり、遅刻の帝王になったり、会社を辞めたりしないで、小さなところからはじめましょうね。
やがて大きなことも思いつくようになります。
面白いことをたどっていくと、こんなことも自分は好きなんだ!という発見がどんどんあります。
僕もセミナーがこんなに楽しいなんて思ってもいませんでしたよ。

その先にはもっともっと面白いことが待っています。
そして、いつかきっと、あなたの魂が望んでいることにたどり着いて、喜びに震える時が来るでしょう。
それがあなたの「魂の目的」です。
その先にはもっとあなたの本質に近い目的が待っています。


第156回 大原則 痛いのが気持ちよくなる

第158回 防波堤くずし


戻る